昨今マンションの施工不良が問題となっていますが、このほど、マンション所有者が施工業者から施工不良に伴い補償金、損害賠償金を受領した場合の所得税の課税関係が公表されました。
横浜市の全棟建て替えとなったマンションの所有者から多数相談を受けましたが、これまでは私見であったものが、課税関係がはっきりとなりました。
- Aが居住するマンションでは建物の一部に破損が生じたため、耐震安全性検証を行ったところ、設計及び施工について、新築当時の建築基準法に規定されていた耐震基準を満たしておらず、耐震安全性が低いことが判明しました。
そこで、施工業者は、耐震補強工事の実施のため、マンションの居住者に一時的な退去を依頼するとともに、その居住者に対し、損害賠償金として(1)仮住まい先への転居に必要な移転費用相当額、(2)転居後の家賃相当額及び(3)仮住まい先からマンショへの転居に必要な移転費用相当額の補償金を支払うこととしました。
Aが施工業者から受領する上記の補償金の課税関係はどのようになりますか。 - 照会の補償金についてはいずれも非課税となります。
所得税法上、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金及び不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金については非課税とされています(所得税法第9条第1項第17号、所得税法施行令第30条第1号、第2号)。
照会の補償金については、いずれも施工不良に基因して追加的に生ずる費用の実費を補填する損害賠償金として支払われるものであることから、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金として非課税となります。