相続税申告にあたり、一番難しいのは土地の評価です。評価額を間違えると相続税の追徴課税もかなりの金額になります。
いま申告の依頼を受けているケースでは、被相続人がマンションの一室を所有し、居住されていました。そのマンションは、敷地内に8棟あるマンションで、6号棟の一室の敷地をどのように評価するかが問題となりました。
1号棟から8号棟すべての広大な土地として評価すると、4方向で路線価と接している土地となるため、側方加算、二方路線影響加算も適用され、土地の評価額が高くなります。6号棟の敷地部分だけで評価するならば正面路線のみとなり、土地の評価額は下がります。
- 土地の評価単位を教えて下さい。
- 宅地の価額は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいいます。)ごとに評価します。
(1) 所有する宅地を自ら使用している場合には、居住の用か事業の用かにかかわらず、その全体を1画地の宅地とします。
(2) 所有する宅地の一部について借地権を設定させ、他の部分を自己が使用している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地とします。一部を貸家の敷地、他の部分を自己が使用している場合にも同様とします。
(3) 所有する宅地の一部について借地権を設定させ、他の部分を貸家の敷地の用に供している場合には、それぞれの部分を1画地の宅地とします。
(4) 借地権の目的となっている宅地を評価する場合において、貸付先が複数であるときには、同一人に貸し付けられている部分ごとに1画地の宅地とします。
(5) 貸家建付地(貸家の敷地の用に供されている宅地をいいます。)を評価する場合において、貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とします。
(6) 2以上の者から隣接している土地を借りて、これを一体として利用している場合には、その借主の借地権の評価に当たっては、その全体を1画地として評価します。この場合、貸主側の貸宅地の評価に当たっては、各貸主の所有する部分ごとに区分して、それぞれを1画地の宅地として評価します。
(7) 共同ビルの敷地の用に供されている宅地は、その全体を1画地の宅地として評価します。
- 上記(5)で貸家が数棟あるときには、原則として、各棟の敷地ごとに1画地の宅地とするということなので、今回の6号棟の一室の土地の評価にあたり、6号棟の敷地のみで評価してもよいのでしょうか。
- 今回のケースでは、敷地権が1号棟から8号棟までの敷地全体に対して設定されており、敷地権の割合もその敷地全体に対しての割合となっています。したがって、6号棟の敷地に相当する部分を切り出して、その部分だけで評価、つまり正面路線のみで評価することはできません。
一般的に、敷地内に複数の貸家がある場合は、それぞれの貸家の敷地に相当する部分に区分し、それぞれの土地の評価額を計算しますが、今回のケースではこの評価方法は採用できません。