親から金銭の贈与を受けた、あるいは、生命保険で親が保険料を支払っていたものが満期となり、子供が受け取ったなど、生前贈与を受けた場合には贈与税の申告が必要です。しかし、過去に贈与を受けたにもかかわらず贈与税申告をしていないというケースが多数あります。

 贈与税の基礎控除は、暦年課税の場合で「110万円」、相続時精算課税を選択した場合で「2,500万円」です。相続時精算課税は選択届出書を税務署に提出することで認められる制度ですので、選択届出書を提出していない場合は暦年課税で課税されます。

 親から1,000万円の金銭の贈与を受けた場合、贈与税は231万円(平成26年以前の贈与)となります。贈与税申告をしておらず、税務署から指摘を受け、期限後申告となる場合は、延滞税・加算税がこれにプラスされます。

 では、10年も20年も前に贈与を受けたものに対し、いまから贈与税が課税されるのかというと、「時効」というものがあります。時効になれば、たとえ無申告であっても贈与税は課税されません。

10年前に父が保険料を支払っていた生命保険が満期となり、その子供が満期金1,000万円を受け取りました。贈与税申告の申告はしていませんが、贈与税は課税されるのでしょうか。贈与税の時効について教えて下さい。
贈与税の時効は、原則として「6年」ですが、虚偽申告その他不正の手段により贈与税の申告を免れた場合には、例外として「7年」になります。

実務上は、贈与税申告が必要だったと認識している場合がほとんどですので時効は「7年」と考えるの通常です。

では「7年」経過すれば税務署は課税できないのかというとそうではありません。「名義預金」といって、父が子供名義の通帳を作り、そこに毎年現金を入れ、通帳・印鑑の管理は父が行っており、子供も贈与税申告していない場合があります。

このような場合で父が死亡した場合、税務署は贈与は成立していないとして、名義預金は子供の財産ではなく、父の財産であるとして相続税で追徴課税します。贈与が成立していない以上、時効を主張することはできません。

したがって、「時効」を主張するには、贈与が成立していることを客観的に示すことが必要です。
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