固定資産税路線価を使った土地の相続税評価額の節税対策

土地の相続税評価額は、国税庁が公表している路線価を用いて評価しますが、固定資産税にも路線価があることをご存知でしょうか。

固定資産税路線価は、相続税の路線価と違い毎年評価替えされるものではなく、3年に一度しか評価替えされません。評価替えする年度を基準年度と言い、基準年度の翌年度、翌々年度は「修正率」が公表され、基準年度の固定資産税路線価に修正率を乗じたものがその年度の固定資産税路線価になります。

固定資産税路線価はその存在がほとんど知られていませんが、相続税の路線価と大きく違う点が1点あります。この点は、相続税の土地の評価を行う際に非常に重要なポイントとなります。
その違いとは、相続税の路線価は原則として1つの道路に1つの路線価が付されます(図1参照)。それに対し、固定資産税路線価は1つの道路であっても土地の評価額に異なる影響がある場合には2つの路線価が付されます(図2参照)。

(図1)相続税路線価

(図1)相続税路線価

(図2)固定資産税路線価

(図2)固定資産税路線価

つまり、相続税の路線価は国税庁が付すものですので、その道路に面する土地のすべての事情の細部まで考慮することはありませんが、固定資産税路線価は市町村が付すものであるため、より細部の事情まで考慮して付しているといえます。

今回問題になった土地Xの評価について、接道している道路に固定資産税路線価が2つ付されているケースです。相続税路線価は200千円ですが、固定資産税路線価は評価対象地側は185千円、反対側は192千円です。

固定資産税路線価の方が相続税路線価よりも細部の事情を考慮して付されているので、相続税路線価もその事情を考慮して減額できないのでしょうか。
今回のケースは、相続税路線価の欠点とも言える部分です。固定資産税路線価の方が細部の事情を考慮して付されているといえるでしょう。

相続税路線価200千円が、固定資産税路線価192千円を考慮して付されているとした場合、

200千円×185千円/192千円=192千円が修正した相続税路線価といえます。

したがって、評価対象地の相続税評価額は、
200千円×250㎡(地積)=50,000千円が時価として適正だとはいえず、192千円×250㎡=48,000千円が適正な評価額といえるでしょう。

相続税申告の際に固定資産税路線価をチェックすることにより、土地の評価額を引き下げることができる場合もあります。