賃貸併用住宅を新築するときの登記(小規模宅地減額、住宅ローン控除)

家賃収入を得られ、ローンの返済原資にもなるということで賃貸併用住宅を建てる方が増えています。それに比例して、相談件数も増え、また、税務トラブルも増えています。

また、賃貸併用住宅を新築し、当初は第三者に貸していたが、空家になったし親が高齢だからということで、1部屋に親を呼び寄せ、居住させるケースもあります。平成25年度税制改正で相続税における二世帯住宅に係る小規模宅地の減額が改正され、二世帯住宅については区分登記の有無で判定することになりました。

今回の相談は、3階建ての賃貸併用住宅を新築する方からで、1階と2階は賃貸、3階は相談者の方の住居として使う予定です。

通常、自宅を新築する場合は住宅ローンを借りますが、賃貸併用住宅の場合は居住割合が2分の1超(金融機関によっては2分の1以上)でなければ住宅ローンは使えず、アパートローンになることがあります。

賃貸併用住宅の税務トラブルで多いのが、住宅ローン控除の適用が受けられないケースがあるという点です。

賃貸併用住宅を新築する場合で、1階と2階は賃貸、3階は自己居住用として使う場合で具体的に教えて下さい。
住宅ローン控除は、アパートローンでも一定要件を満たせばその適用は可能です。しかし、賃貸併用住宅で特に問題となるのが、居住部分の割合が2分の1以上であるという要件です。

  ご質問の賃貸併用住宅について、「区分登記」しなければ、居住部分の割合は3分の1となり、住宅ローン控除の適用要件を満たしません。このような場合には「区分登記」することでクリアできます。つまり、各独立部分を区分登記することにより、3階の自宅部分だけで判定することができるようになり、その結果、居住部分の割合は100%として適用要件を満たします。

ただし、区分登記した場合、相続税の小規模宅地の減額の適用にあたっては、たとえば両親が2階に、長男夫婦が3階に住んでいる場合、相続人である長男は両親と同居していた親族とはみなされないようになるため、注意が必要です。

このように住宅ローン控除の適用を受けるには「区分登記」しなければならないケースがあります。しかし「区分登記」したことによって、将来の相続税の申告の際に小規模宅地の減額の適用が受けられないということも生じます。したがって、住宅ローン控除の減税効果と相続税対策をミックスして検討する必要があります。