人生の中で遺言書を見る機会は多くないでしょう。親が亡くなり、家族もまだ心の整理がついていないような時に遺言書が見つかったら、ついうっかりと封筒を開けてしまい、遺言書を見てしまう、そんなことがあります。
遺言には、(1)自筆証書遺言、(2)公正証書遺言、(3)秘密証書遺言の3つがあります。公正証書遺言の件数も増えていますが、自筆証書遺言も相当数あります。
今回の相談は、遺言書を発見した場合、どのような手続きをとらないといけないのかという内容です。
- 父親が亡くなり、遺言書を発見しました。気が動転していて封印されていた封筒を開けてしまったが、どうすればいいでしょうか。
- その遺言書が自筆証書遺言の場合には、家庭裁判所で検認の手続きを取って開封する必要があり、故意に開けてしまった場合は最高5万円以下の過料が科せられます。検認前に開封したら遺言が無効になってしまうということはありません。
公正証書遺言の場合は、遺言作成段階で公証人が内容を確認しているため、家庭裁判所の検認の手続きは必要ありません。
自筆証書遺言は、費用もかからず、自分でいつでも書くことができるので便利ですが、その反面、亡くなった後に家庭裁判所の検認の手続きが必要です。相続人も遺言に慣れている人はいないでしょうから、ついうっかりと開けてしまうこともあるでしょう。
そこで対応策として「二重封筒」という方法があります。遺言書を封印した封筒を、それよりも大きめの封筒に入れて、その中に「これ以上は開けてはならない。家庭裁判所に持って行って検認を受けること。」と記載したメモ書きを入れます。一つ目の封筒を開けてしまっても遺言書はもう一つの封筒に封印されているので問題ありません。家族のことを最後まで想った遺言書です。