相続税申告は、相続人が複数いる場合、共同して申告するのが望ましいですが、相続人間で争いがあるときや財産評価の方法で納得がいかないときなど、相続人が別々に申告することもできます。
このように別々に相続税申告をする場合に問題となるのが、相手方が被相続人から生前に受けた贈与について、情報を教えてもらえないことが多いということです。
相続税の計算では、(1)相続開始日前3年以内の生前贈与財産、(2)相続時精算課税制度を適用した生前贈与財産は一般に財産に加算して相続税の課税対象となります。ここで注意しなければならないのは、これらの生前贈与財産は自分がもらったものだけでなく、他の相続人がもらったものも加算しなければならないということです。
特に相続税申告を別々に行うような兄弟間の場合、相手方が生前に贈与を受けた財産を教えてくれないことが多々あります。
- 兄弟間で争いがあり、別々に相続税申告しますが、弟が父から生前に贈与を受けた財産を教えてくれません。何か確認する方法はないでしょうか。
- 贈与税の申告内容の開示については、被相続人の相続開始時における住所地の所轄税務署長に対して開示請求することができます。
具体的な開示内容は、
(1)相続開始前3年以内の贈与
(2)相続時精算課税適用財産
に限られています。
ところで、平成15年から相続時精算課税制度が導入され、10年以上が経過しました。この相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた財産は、相続開始前3年以内の贈与かどうかにかかわらず、すべて相続財産として加算しなければなりませんが、それを失念(そもそも相続財産として課税されることを理解していなかったかもしれません)していて税務調査で修正を求められるケースが増えているようです。
弊社でも生前贈与について相続人の方で把握されていないときは税務署に閲覧申請を利用しています。