いま依頼を受けている相続税申告で、被相続人の相続財産に個人向け国債があります。

 今回はこの個人向け国債の評価方法についてご紹介します。

個人向け国債はどのように評価すればよろしいでしょうか。
 個人向け国債は、課税時期において中途換金した場合に取扱機関から支払いを受けることができる価額により評価します。
 具体的には、次に掲げる算式により計算した金額によって評価します。
 (算式) 額面金額 + 経過利子相当額 - 中途換金調整額

 個人向け国債は、原則として、個人のみが保有できる国債で、発行から一定の期間(原則1年)が経過すると、いつでも中途換金できることが法令により担保されており、かつ、そのときの中途換金の額がいくらになるかが把握できるという状態にあります。このように、常に中途換金が可能であるという特徴を有する個人向け国債については、金融商品取引所に上場されている利付公社債等について、金融商品取引所で成立する取引価格等が把握できる状態と実質的に異なるものではないと考えられることから、中途換金の額により評価します。
 なお、中途換金ができない発行後一定の期間内での中途換金は、相続等の場合に限って認められていますが、原則として、発行後1年未満の個人向け国債を贈与により取得した場合であっても、中途換金の額により評価しても差し支えありません。

 経過利子相当額を計算するには、まず国債の利率を調べる必要があります。国債の利率は財務省のホームページで簡単に調べることができます。

 次に「中途換金調整額」を計算します。
 中途換金調整額は、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685で計算した額になります。
 変動金利の場合は、直前2回分の利子の金利も調べておく必要があります。